麺の読み物

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圧延とは|麺のコシと食感を左右する工程

日本の国民食ともいえるラーメンやうどん。麺を食べる際、「コシ」がどのように生み出されているか疑問に思ったことはありませんか。実は、その美味しさを根底から支えているのが、製麺における「圧延(あつえん)」や「複合」といった重要な工程です。

「美味しいスープには美味しい麺が欠かせない」と言われますが、麺のクオリティは生地の作り方一つで大きく変わります。本記事では、製麺の基本となる圧延や複合の仕組みについて、初心者にも分かりやすく解説します。

「どうしてコシが生まれるのか」「なぜ生地を何度もローラーに通すのか」といった素朴な疑問をはじめ、加水率(かすいりつ)の違い、麺の太さを決める「切刃番手(きりはばんて)」と呼ばれる規格、中華麺に欠かせないかんすいの役割まで、麺作りにまつわる重要な知識を網羅しました。

美味しい麺の仕組みや製法を知ることで、お店でのラーメン選びがさらに奥深く、楽しいものになります。また、自家製麺に挑戦したい飲食店関係者やラーメン愛好家にとっても、失敗しないための論理的なヒントが満載です。それでは、職人技と科学が交差する製麺の奥深い世界を一緒に紐解いていきましょう。

麺の美味しさを決める「圧延」と「複合」とは

麺のコシやなめらかさは、「複合」と「圧延」という2つの製麺工程に大きく左右されます。生地の密度を高めて強いグルテンの網目構造を作る「複合」と、その組織を守りながら徐々に薄く延ばす「圧延」は、美味しい麺を作るために欠かせない作業です。

圧延の役割:麺帯を徐々に薄く延ばす

圧延(あつえん)とは、こね上がった生地を金属製のローラーの間に通し、薄い帯状に延ばす工程のことです。小麦粉に水を加えて混ぜる「ミキシング」を終えたばかりの生地は、そぼろ状や大きな塊になっています。そのままでは厚みがありすぎて、麺の形に切り出せません。そのため、ローラーの間に通して圧力をかけ、よく知る麺の厚さまで少しずつ延ばす必要があります。このとき、平らな帯状になった生地を製麺用語で「麺帯(めんたい)」と呼びます。

圧延工程で最も重要なポイントは、強い圧力で一気に薄くしようとしないことです。急激な圧力をかけて無理に生地を押し潰すと、内部に形成されたグルテンの繊細な網目構造が破壊されてしまいます。その結果、コシのないボソボソとした麺になります。そのため、一般的な機械製麺では「多段ロール」と呼ばれる複数のローラーを使い、隙間を少しずつ狭めながら生地を延ばす手法がとられています。段階的に優しく圧力をかけることで、生地の組織を壊さずに、なめらかで均一な厚みを持つ美しい麺帯を作れるのです。

複合の役割:コシの源となる「グルテン」を育てる

複合(ふくごう)とは、圧延の初期段階で作った2枚以上の分厚い麺帯を重ね合わせ、再びローラーに通して1枚にまとめる作業を指します。この工程を丁寧に行うことで生地の密度が飛躍的に高まり、麺のコシの源となる「グルテン」の網目構造が強固に育ちます。

小麦粉に水を加えて練り合わせることで発生するタンパク質の結合体が「グルテン」です。グルテンは、麺特有の弾力や伸びを支える、建物の骨組みのような役割を果たします。しかし、ミキシング直後の生地をただ1枚のシート状にしただけでは、グルテンの繊維が向く方向が一定になりません。網目構造もまばらで、弱い状態にとどまっています。

そこで、生地を2枚重ね合わせて圧力をかける複合を行うとどうなるでしょうか。異なる方向を向いていたグルテンの繊維が、縦横に交差するように複雑に絡み合い、より強靭で立体的な組織へと再構築されます。手打ちうどんには生地を足で踏んで折りたたむ「足踏み」という作業がありますが、機械製麺の複合はまさに同じ役割を担っています。この複合の回数や、ローラーでかける圧力の強弱によって、最終的な麺のコシの強さやモチモチとした食感が決まります。そのため製麺において、非常に繊細で職人の勘が問われる重要な工程といえます。

データを読み解く!製法や麺種による数値の違い

機械製麺と手打ち麺では加水率が異なります。また、中華麺に使われるかんすいの量や乾麺の水分量にも、それぞれ厳密な基準や適量が存在します。ここでは、客観的な数値データや規格から、製法や麺種による特徴の違いを紐解いていきます。

手打ちと機械製麺の「加水率」の違い

麺を作る際、使用する小麦粉の重量に対して加える水分の割合を「加水率(かすいりつ)」と呼びます。一般的に、手打ちと機械製麺とでは、この加水率に大きな違いがあります。麺生地の加水率は、手打ちうどんなどの多加水麺で45〜50%であるのに対し、乾麺などの機械製麺は35〜40%の低加水で製造されるのが特徴です[1]

手打ち麺の場合は、手や足の力だけで生地をこねたり延ばしたりします。そのため、ある程度水分が多く柔らかい状態(多加水)でないと、物理的に作業を行うことが困難です。多加水の麺は、ツルツルとしたなめらかな喉越しと、モチモチとした柔らかい食感が魅力です。

一方、機械製麺の場合はローラーによる強い圧力を利用できます。そのため、水分が少なく硬いボソボソとした生地(低加水)であっても、複合や圧延を通じてしっかりと1枚の麺帯にまとめられます。低加水で作られた麺は、小麦本来の豊かな風味が強く感じられ、スープをしっかりと吸い込みやすいという特徴を持ちます。機械の強い圧力が不可欠な低加水麺は、まさに製麺機ならではの産物と言えるでしょう。

中華麺に欠かせない「かんすい」の適量

中華麺特有の淡い黄色や独特の風味、強いコシを生み出すために欠かせない副原料が「かんすい(鹹水)」です。かんすいは炭酸ナトリウムや炭酸カリウムを主成分とするアルカリ性の水溶液です。小麦粉に含まれるフラボノイド色素に反応して麺を黄色く発色させると同時に、タンパク質に作用して弾力を増強する働きがあります。

しかし、かんすいは多ければ多いほど良いわけではありません。麺の種類や製造方法に合わせて最適な量が決められています。例えば、即席中華めん100gあたりのかんすい使用量は、通常0.1g〜0.2g、ノンフライで0.3g〜0.6gが適量とされています[4]

油で短時間揚げる一般的な即席中華めんと、熱風でじっくり乾燥させるノンフライめんでは、製造工程での水分の抜け方や、生地組織の熱変化が大きく異なります。そのため、それぞれの製法で最高の食感を引き出せるよう、科学的な知見に基づいてかんすいの量が微調整されています。

乾麺の水分量に関する厳格な基準

長期間の常温保存が可能な保存食として、古くから重宝されている乾麺。その高い品質と安全性を保つため、最終的な水分量には厳格な基準が設けられています。日本国内で食品の品質や表示の基準を定めるJAS(日本農林規格)では、乾麺の水分含量について明確な規定があります。具体的には、干しうどん14.5%以下、干しそば14.0%以下と規定されています[3]

乾麺の水分量が細かく制限されている理由は、水分が一定の基準値を超えると微生物やカビが繁殖しやすくなり、風味の劣化や腐敗の原因になるからです。かといって、ただカラカラに乾燥させれば良いわけでもありません。乾燥させすぎると麺がひび割れたり、茹でたときに元のなめらかさを取り戻せなくなったりします。そのため製麺所の乾燥室では、緻密な温度・湿度管理のもとで絶妙な水分コントロールが行われています。保存性を極限まで高めつつ、茹でたときにしっかりと元の強いコシや豊かな風味を復元できるようにしているのです。

以下は、今回解説した製法や麺種ごとの数値データの違いをまとめた比較表です。製麺における水分や添加物の目安として参考にしてください。

項目 基準・適量・数値 出典
加水率(手打ちうどん等の多加水麺) 45〜50% [1]
加水率(乾麺などの機械製麺) 35〜40% [1]
かんすい量(即席中華めん100gあたり) 0.1g〜0.2g [4]
かんすい量(ノンフライめん100gあたり) 0.3g〜0.6g [4]
乾麺の水分含量(干しうどん) 14.5%以下(JAS規格) [3]
乾麺の水分含量(干しそば) 14.0%以下(JAS規格) [3]

この表からも分かるように、一口に「麺」といっても、手打ちか機械か、生麺か乾麺かといった製法や種類によって、最適な水分量や成分の割合は大きく異なります。それぞれに科学的な根拠や明確な規格が存在しており、製麺という技術の奥深さがうかがえます。

麺の太さを決める「切刃番手」の仕組み

圧延によって適切な厚みに延ばされた麺帯を、最終的に細長い麺の形に切り出す際の太さは「切刃番手(きりはばんて)」という規格で決まります。これはスープの味や濃度との相性によって使い分けられます。ここでは、切刃番手の定義や計算方法、太さによる麺の選び方について詳しく解説します。

切刃番手とは?JIS規格による定義

製麺機の最終工程において、麺の太さは「切刃(きりは)」と呼ばれる、溝が掘られたローラー状のカッターのサイズで決まります。この切刃の溝の幅(サイズ)を表す共通の単位が「番手(ばんて)」です。麺の太さを示す切刃番手はJIS規格で定義され、30mm幅からの切り出し本数で決まります[2]

分かりやすく言い換えると、「幅30mmの麺帯をセットしたとき、何本の麺を切り出せるか」を示しています。したがって、番手の数字が大きいほど切り出される本数が増えるため、1本あたりの麺の幅は細くなります。 計算式は「30mm ÷ 番手 = 麺の太さ(幅)」となります。以下は、ラーメンなどでよく使われる代表的な番手と、そこから算出される麺の太さの比較表です。数字と実際の太さの関係性を確認してみましょう。

切刃番手 麺の太さ(目安) 出典
18番手 1.67mm [2]
20番手 1.50mm [2]
26番手 1.15mm [2]

このように、20番手よりも26番手の方が数値自体は大きいものの、麺の幅は細くなるという反比例の関係にあります。JIS(日本工業規格)で明確に数値が定義されているおかげで、日本全国どこの製麺所や飲食店でも、共通の基準で目的の太さの麺を正確に発注・製造できるのです。

太さ(番手)とスープの美味しい相性

ラーメンをはじめとする麺料理において、麺の太さとスープの相性は、一杯の完成度を左右する非常に重要な要素です。切刃番手によって細麺、中太麺、極太麺などが切り出されますが、それぞれ適したスープの濃さや種類が異なります。

たとえば、26番手(1.15mm)前後の極端な細麺は、器の中で麺の密度が高くなります。そのため、毛細管現象のように麺の間にスープをたっぷりと絡め取る性質があります。博多ラーメンの豚骨スープのように旨味が強く、麺と一緒にスープをしっかり持ち上げて味わいたい一杯に最適です。

一方、18番手(1.67mm)から20番手(1.50mm)前後の中細麺から中太麺は、醤油ラーメンや塩ラーメンなどのあっさりとした清湯(チンタン)スープと合わせやすいのが特徴です。麺の小麦の風味と、スープの繊細な旨味のバランスを最も良く楽しめます。

さらに、14番手や12番手といった数字の小さい太麺になるほど、噛み応えや麺の存在感が強くなります。そのため、濃厚な味噌ラーメンや魚介豚骨のつけ汁など、パンチのある力強いスープに合わせるのが一般的です。 製麺のプロフェッショナルは、あらかじめ「どのようなスープと合わせるのか」を想定し、最終的な圧延の厚みや切刃番手を逆算して決定することで、最高の一杯を演出しています。

職人技が光る!はしづめ製麺の「複合・圧延」

昭和の時代から製麺業を営む老舗・はしづめ製麺。ここでは丁寧な複合と、多段ロールを用いた圧延技術により、かんすいを極力抑えながらも、えぐみのない味わいと茹でのびしない強いコシを持つプロ仕様の麺を生み出しています。

かんすいを抑えつつ強いコシを出す熟練の技術

中華麺づくりにおいて、かんすいはコシや風味を出すために欠かせない成分です。しかし、強いコシを求めて使用量を増やしすぎると、独特のえぐみやアンモニア臭が鼻につき、繊細なスープの香りを邪魔してしまいます。逆に、かんすいの量を減らすと麺の弾力が失われ、すぐに茹でのびしてしまうというジレンマがありました。

そこで、はしづめ製麺は、かんすいを抑えながらも独自の練り込みや熟練の複合・圧延技術により、えぐみがなく伸びにくいコシを生み出しました[5]。 具体的には、生地をミキシングする際に特殊な「真空ミキサー」を使用しています。ミキサー内を真空状態にすることで生地への空気の混入を防ぎ、水分を小麦粉の芯まで素早く均一に浸透させています。これにより、非常に高密度でギュッと詰まった生地が完成します。

さらに、その高密度な生地を、長年の経験に基づく繊細な複合工程で重ね合わせ、グルテンの網目構造を強固に育て上げます。その後、多段ロールを用いてゆっくりと時間をかけて圧延することで、育ったグルテンを壊すことなく、なめらかな麺帯へと仕上げていくのです。 化学的な添加物に過度に頼るのではなく、機械の高度な性能と職人の熟練の技を高い次元で融合させる物理的なアプローチによって、理想的な麺のコシを構築しています。

ご家庭で味わうプロ仕様のなめらかな喉越し

はしづめ製麺が作り出す高品質な麺は、多くの有名ホテルや星付きの高級レストラン、こだわりのラーメン店などで、「プロ仕様」として長年愛用され続けています。一流の料理人たちから支持される理由は、熱いスープに入れても茹でのびしない圧倒的な耐久性と、つるっとしたなめらかな喉越しが見事に両立しているからです。

入念な複合工程でしっかりとグルテンの網目が作られ、多段ロールの圧延工程で均一に延ばされた麺。これをお湯で茹でると水分が適度に浸透し、表面はつるつると柔らかく、中心にはもっちりとした芯が残る理想的なアルデンテ状態に仕上がります。さらに、かんすいが最小限に抑えられているため、小麦本来の豊かな甘みと香りがダイレクトに感じられます。丹精込めて作られたスープの風味を一切邪魔することなく、引き立ててくれるのです。

現在では、こうしたプロ仕様の本格的な味わいを、オンラインショップなどの通信販売を通じてご家庭でも手軽にお取り寄せできるようになりました。ご自宅で本格的な醤油ラーメンを作ったり、こだわりのつけ麺を楽しんだりと、アレンジの幅も広がります。職人の並々ならぬ技術と情熱が詰め込まれた至高の麺を、お好みのスープと合わせて、ぜひご自宅の食卓でじっくりと味わってみてください。

まとめ

本記事では、美味しい麺の土台となる「圧延」と「複合」の仕組みをはじめ、加水率や切刃番手、かんすいの役割といった製麺にまつわる専門知識について詳しく解説しました。

麺のコシやなめらかさは、単に小麦粉と水を混ぜるだけでは生まれません。複合工程によって生地を重ね合わせて密度を高め、強固なグルテンの網目構造を形成することが何よりも重要です。そして、その強靭な組織を破壊しないよう、多段ロールを使った圧延工程で少しずつ生地を薄く延ばしていくことが、美味しい麺作りの鉄則です。

また、機械製麺は手打ちよりも強い圧力を活かした低加水(35〜40%)で作られることや、JIS規格に基づく切刃番手(30mm幅からの切り出し本数)によって麺の太さが精密に決められていることなどにも触れました。こうした客観的な数値や基準を知ることで、製麺技術の奥深さがより明確になったのではないでしょうか。 さらに、はしづめ製麺のように、真空ミキサーなどの高度な設備と熟練の複合・圧延技術を駆使する事例も紹介しました。かんすいの使用量を最小限に抑えつつも、えぐみがなく、茹でのびしない強いコシを実現しています。

私たちが普段何気なくすすっているラーメンやうどんは、こうした緻密で科学的な製麺工程と、職人たちの情熱の賜物です。次にラーメン店に足を運んだ際や、ご自身で自家製麺に挑戦する際には、ぜひ今回学んだ「複合」や「圧延」の仕組み、そして番手とスープの相性を思い出してみてください。製法や背景を知ることで、日々の麺選びがより一層楽しく、豊かな体験になるはずです。

FAQ

Q:麺の「コシ」はどのようにして作られますか?
小麦粉のタンパク質が結びついてできる「グルテン」の網目構造によるものです。製麺工程における「複合」や「圧延」によって生地の密度が高まることで、強固なコシが生まれます。
Q:機械で作る麺と手打ち麺では、水分の量に違いはありますか?
はい。手打ちうどんなどの多加水麺は水分量が45〜50%であるのに対し、機械製麺は35〜40%程度の低加水で製造されるのが一般的です[1]
Q:中華麺に使われる「かんすい」はどのくらい入っていますか?
一般的な即席中華めん(油揚げ麺)1食分100gあたり、約0.1g〜0.2gが適量とされています[4]
Q:「切刃番手」とは何ですか?
麺の太さを示すJIS規格の単位です。30mm幅の麺帯から何本の麺を切り出すかを表しており、数字が大きいほど細麺になります[2]
Q:乾麺の水分量に決まりはありますか?
はい。JAS規格により、干しうどんで14.5%以下、干しそばで14.0%以下と厳格に規定されています[3]

職人の技が光る本格的な麺を、ぜひご家庭の食卓で。プロが認めるこだわりの味わいをお取り寄せいただけます。

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